秋の好きな記憶たち

  • レアですよ。
    あ、そういえば、この時良かったよね。 そういう記憶たちを詰め込みます。気ままにね。

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自分みつけ

「あなたはどうしたいの。」

カウンセラーが聞いた。

「頼まれたからとか、そうじゃなくて、あなたはどうしたいの。」

わたしは小さい声で「わからないんです。」と言った。

「可哀想っていう気持ちはわかるんだよ。他の人に仕事がいくより、きつくても自分が受けたほうがいいやっていう気持ちも、あなたはそのパターンなんだよ。常にね。」

たしかにそうかもしれない。

「はい……。たしかに、そうだと思います。でも…わたしが引き受けないと他の人が可哀想で。子どもいる先生たちも多いし。」

「でも、あなたも可哀想じゃないですか。」

わたしはただ、黙った。

「先生の子どもに多いんだよね。あなたのような感じの人ね。でも……お父さん、先生ではなかったよね。」

「違います。」

「でも、教育関係だったよね。」

「そうです。」

「先生の子どもって、こうじゃなきゃいけないって、すり込まれている子が多いんだよ。なんかわかる気がするでしょう。でもね、しつけだと思っているから、親は気付いていないんだよね。子どもがいい子でい続けることに、疲れちゃってるのに。」

「わたしは…わたしはいい子なんかじゃありませんでした。本当に。」

「ほら、それもだよ。こんなに頑張ってきたのにね、まだ自分はだめだって思う。」

わたしたちは少し笑った。

「もういいじゃないですか。少し走るのやめてみても。本当のあなたにもどる努力をしないと。」

本当のわたしってなんだ、と思った。わたしは自然に生活しているつもりだった。

「習慣って怖いから、なかなか治らない。走るのやめたいのに、やめれないんだよね。普通に歩いていると、自分が怠けているような錯覚に陥るんですよ。」

なるほど、わかる気がする。

「まず、何をしたらいいんでしょう。」

先生はにっこりわらって言った。

「できるだけ、何もしないでください。人とも会わないでください。ピアノ弾いたり、そういう好きなことはいいけれど、一人でできることにしてください。」

「家事もしたらだめなんですか?」

「なるべく、最低限にしてください。」

やらないといけないこと、いっぱいあったのにな、と思ったけれど、先生の指示に従うことにした。

わたしは、本当のわたしに戻ってみたい。

走るのをやめた自分に会ってみたい。

「先生、走るのをやめたわたしって、どんな感じなんでしょう?」

帰る前に、質問してみた。

「さぁ、どんな感じなんでしょうね。わかりませんね。でもきっと、幸せになれると思いますよ。」

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コメント

じゅんこさんへ
手首を骨折なさったんですね!大丈夫ですか?
でも、今年はそれを理由にして少しゆっくりしてはいかがでしょう?
わたしは、自分ではそんなに感じていなかったのですが、人の評価が気になるようです。無意識に。
そして、辛いことは苦しいことを全部自分で引き受けようとするところもあるようです。

じゅんこさんもは演出と書いていましたが、果たしてそれは自分の意思でやっている演出なんでしょうか?
もし、そうなのだとしたら、どうして「演出をしなければいけない」のでしょうか?
たぶん、わたしのカウンセラーはそう聞くと思います。

なにかじゅんこさんも、そうなってしまう理由があるんだと思います。
自分の心を見つめて、少しゆっくりしてくださいね。

「本当の私ってなんだ?」
いいこでいつづけることに慣れてしまっている・・・・。
なんだかとてもせつなくなりました。

頑張る自分をいつも演出してしまう私のずるさを、自分でせめてしまう私がいます。
一週間前、雪道で転んで手首を骨折。
この年末年始、なにもできない状態です。
大掃除やおせちづくり・・・・。

でも、秋さんの文章を読んで気がつきました。
ゆっくり自分を見つめる数日間にしようと!!!
ありがとう。

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