少し前のできごとだけれど、N先生から相談をうけた。40代の女性の先生だ。
Y先生(男性)と意見が違ったので、自分の意見をただ言っただけなのに、その日から態度がかわり、避けられるようになったという。普段はいいけれど、仕事のことでどうしても話さないといけないことでも近づいただけで避けられるし、大切な書類も提出してくれず、とても困っているという話だった。
わたしは、大人なのになんてことだ、とあきれた。
わたしもY先生とは仕事上よく話すけれど、多少感情的になるところがあり、人の好き嫌いが激しいこともわかっていた。でも、意見が食い違ったからといって、あとから引きずるようなことはなかった。「人をみてるな。」とわたしは思った。
N先生はとてもおとなしい先生で、ときどき失敗をしてしまうことがある。Y先生は失敗を許せないところがあるので、失敗をするくせに反対意見を言うなんて!と腹を立てたのだろう。
わたしは、困りきったN先生に「A先生(秋の本名)だったら、うまくやってくれそうな気がするから、なんとか間に入ってもらえないだろうか。」といわれたので、「やってみます。」と言った。
何日か様子をみて、ちょうど二人になったときにY先生にさりげなくN先生とのことを聞いてみた。Y先生は堰を切ったように「本当に腹が立つ。」とN先生の悪口を言い始めた。
でも、それは、とても納得のいくものではなかった。感情的になっていて、まるで子どものようだった。
わたしは思わず、N先生のかたをもつ発言をした。仕事は仕事と割り切ってやらないと、という注意じみた言葉も発してしまった。するとその次の日からY先生は、秋にもひどい態度で接するようになった。
カウンセラーの先生にそのことを話すと、先生はにやりと笑ってこう言った。
「間に入るからさ。」
「でも…N先生は悪くなかったし、なんとかしてほしいって言われたから。だって、本当にN先生のほうが正しいと思うんです。言い方とか、ちゃんとよく考えたんです。」
「で、どうなった?Y先生とN先生、うまくいったかい?いかなかったじゃないですか。それだけじゃなく、あなたにまでやるようになった。そうでしょう?」
「………はい。確かにそうです。でも、どうしたらよかったんでしょう。相談にのってほしいと言われたときに断ればよかったんでしょうか。」
「いや、そうじゃなくて、違う方法がよかったんじゃないですか?」
「違う方法ですか…。」
「あなたがやったのは、越権行為ですからね。」
「えぇ?!越権行為??」
「そうですよ。あなたに任せられている仕事には、他の先生を注意することは入っていないんですよ。」
「はぁ。」
「それは、管理職の仕事です。教員同士の人間関係をどうにかするなんていう仕事は、教頭や校長の仕事ですよ。」
「まぁ、確かにそうですけど。」
「だから、話を聞いてあげるのはいいと思いますし、自分の意見を言うのもいいとは思うんですけど、Y先生に対しては本来やるべき役目の人のところに戻してあげたらどうだったんでしょう。」
「あぁ、教頭先生に相談してみたらどうですか、とかですね。」
「そうそう、そうです。越権行為をするとね、つまり、生意気になりますから。」
わたしは「たしかにそうかもしれない。」と思って笑った。
「でもね、先生。わたし、そういうことよく頼まれるんです。なんとかしてもらえないか、とか。あの先生に注意してもらえないだろうか、とか。まっすぐ教頭先生に相談してくれればわたしも越権行為しなくてすむんですけど、どういうわけかわたしにくる。」
「そりゃそうでしょう。」
「え?どうして?わたし自分から相談してなんて言ったこと、一度もありませんよ。」
「だから前にお話したじゃないですか。イメージですよ。イメージ。」
「イメージ?」
「あなたのイメージは、あの人に相談したら、多少越権行為をしてでも、間に入ってくれるだろうというイメージ。」
なるほどね。
わたし、イヤだわ。そんなイメージ…(笑)
でも、たしかにそういうイメージがあるかもしれない。だって、間違ってると思ったら黙っていられないんだもの。
カウンセラーの先生が言った。
「自分の役目と他人の役目の境目、ちゃんと見分けましょう。越権行為は、ある意味生意気なんです。だからその境目、越えちゃわないようにしないと、ね。」
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